

企業の競争力の源泉がイノベーションから顧客価値の創出に至る知識の創造である、という理解はすすんでいるが、まだ従来のやり方以外の新しい「知の創造の方法」が検討されていない。
企業は知識を切り口に経営や価値、利益の創出、といったことを実感を持って思考・展開できなければならない。知識経営の視点、知識の「場」のマネジメントなどが重要である。
そこでは、デザインが20世紀以上に重要な役割を担ってくるのではないかと思われる。
古典的な形態の製造業でありながら知識社会に発展できる企業になるのは難しい。製造業のサービス化が謳われているが、大事なのはサービスを付け加えるのでなく、カスタム化やBTOなどのサービスを通じて知識、ソフト、ノウハウなどを融合した製品を提供することである。そこでは「知識製造業」=サービス、ソフト、知識と製品(ハード、システム)を融合させた価値創造・提供する企業といった企業・業態のコンセプトが重要になる。
こうした新たな企業においては、基本的な価値の操作・表現・提供の方法論としてのデザインという役割はますます大きくなる。「知識デザイン」が重要になる。
デザインは企業だけでなく、政治、社会・文化との問題とも関わってくる。知識経済社会において産業創造性は不可欠の要素であるにも関わらず、政府・国家として取り組んでいる例がなかったが、製造業を持たない英国が知識経済白書等を発行するなど、国家経済政策の柱のひとつにこうした考えを採り入れようとしている。具体的には政府関係者に対するデザイン・マネジメントのプログラムを展開できるかを議論している。
知識資産と価値をむすびつける重要な要素としてもデザインを挙げておく必要があるだろう。知識プロセスにおいては、知識資産の活用や、新たに創造された知識の表現・表示(ビジュアライゼーション)が有用となる。また、デザインは知識資産の視覚化による参入障壁の形成や、知識の製品化に不可欠なプロセスである。
デザインは全体的生産プロセスの中での継続的要素となる。デザインは、製品開発、製造エンジニアリング、生産システムを同調させ、あるいは顧客を参加させ、価値創造の連鎖を生み出すからである。
デザインは、分析的アプローチでは定義が困難な曖昧な問題の解決方法、あるいは問題発見の方法でもある。つまり、「供給者間の関係、製造プロセス、ビジネス・プロセス、顧客との関係、そして製品の使用とその後の廃棄に至るまでを統合する、全体的な方法論」として特徴づけられる。新たな価値創出の要は、製造からデザインへと移行する。デザインは、技術開発や製品の技術的レベルだけでなく、それらを市場志向で統合するプロセスとして重要である。
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